かしわの木
2016-04-13

第2号:幼児期の育ち方で人生は大きく変わる。

『幼児期の育ち方で人生は大きく変わる。』
それを実現する、質の高い幼稚園教育を進めていきます。

「三つ子のたましい百まで」という古くからのことわざがあります。
ことわざにもあるように、生まれてから幼児期に得たことは、一生涯を通じて、その人が生きて行く、これからの世界への関わり方・考え方の基盤になります。

この基盤をつくっていくのが、幼児期にインパクトのある経験や体験の積み重ねで、大事な脳の発達に大きく影響を与えていきます。このことが、しっかりと
した基盤になっていくことが研究で解明されてきています。

しかし、これは「幼児期の間に必要な知識や能力をどんどん身につけさせるべき」ということではありません。むしろ、一方的に知識を与えるよりも、子ども
自身が自ら物事のルールやしくみを発見する力をつけさせてあげることのほうが大切になります。ひらがなや計算を一日も早く覚えるより、「今日こんなことがわ
かったよ。こんなことを見て、楽しかったよ。」と、自分で物事のルールやしくみを発見するプロセスの方が大事で、知識を覚えるのはこのプロセスを踏んだ後で
も十分です。

幼児期の子どもの様子を見てみると、生活のほとんどは興味や関心に基づいた自発的な活動としての遊びから成り立っています。子どもは興味や関心に沿って遊ぶ中で、自らを取り巻く環境に様々に働き掛ける体験を重ねながら、自分が生きている世界を学んでいきます。この意味で、子どもにとって、自発的活動としての遊びは学習であると言えます。

例えば、子どもは砂にまみれて遊ぶ中で、その感触を楽しみ開放感を味わいます。また、友達とともに力を合わせて山や川を作りながら、イメージをもって遊ぶことを楽しんでいきます。その過程で、子どもは砂に水を掛けるとすっと消えていく、水分を含んだ砂はよく固まるなどの砂の特質を知っていきます。さらに、こうした体験を基に、子どもは「より高い山を作るときは、どの砂がよいか」「砂できれいな形のプリンを作るためにどうしたらよいか」など、試行錯誤しながらもいつのまにか砂の特質を遊びに取り入れて発展させていきます。幼児期の子どもにとって、身近な環境と関わる体験は、幼児期にふさわしい発達を紡ぎ出す土壌であり、この意味で環境がいかにあるかは重要になってきます。すなわち、子どもは直接的・具体的な体験から、環境について多くのことを学び、生きるために必要なことを獲得していきます。この意味で、まさに、幼稚園が生活の場になり、環境を学ぶ場となり、学習の場になっていきます。

幼稚園では、このような基盤作りのための質の高い教育をしっかりと1年間進めていきます。

園 長  伊 勢  昭