第6号:園児の生活に合わせた数量の遊びを進めます
算数=計算だと考え、幼児期から計算を教え込む風潮がありますが、数の持つ意味の理解が不完全な時期から数字を正しく書く訓練や計算ドリルをさせる詰め込み教育では数や図形の不思議や算数の面白さを経験させることは出来ません。ましてや算数に強い子も育ちません。
以前、未来大学複雑科学系の先生たちと話し合ったとき、理工系を目指している学生たちが数学の基本と言われることを十分に理解していないということで、原因探ってみると、幼児期の数遊びなどの不足に原因があることが解ってきました。
大切なのは1+1=2だと暗記させるのではなく、1と1のものを合わせると本当に2になることが数・量において確認できる数理的な経験をさせることなのです。それには抽象的な数字に偏った従来の算数指導とは全く発想を異にする方法で幼児期から数概念を育てる指導を行う必要があると考えています。
『考える遊び』は、抽象的な数を扱わせる前に具体的な形と大きさを持つ図形を扱う遊びを十分にさせて数概念を育て、柔軟で合理的な思考力や豊かな想像力を培うことができます。
算数・数学の「数」と「量」は、幼児期における年齢によっての生活体験や具体的操作などの経験が、小学校以降の算数の理解につながる重要な概念です。
いずれ小学校で「算数」という教科になる「数」や「量」は、生活や遊びの中で具体的に体験出来ることがたくさんあります。
幼稚園では、幼児期に、より楽しく・面白いものとして経験できるような環境作りをしています。
例えば、幼児の「数」の教育は、まず「集合づくり」から始めます。物の集まりを理解するために、「同じ仲間を集めよう」「違うものを集めよう」などの集合を作ります。
次に「1対1対応」、そして「多少」「分割」と続き、そこで初めて「2個の把握」という数らしい内容に進みます。
また、「量」は「分離量」と「連続量」とに分かれます。紙一枚やりんご一個など、1個ずつに分類できる個物の集まりが分離量です。しかし「長さ」「広さ」「かさ」「時間」「速さ」といった量は、連続的に増減する量です。これらが連続量です。
この連続量はさらに「外延量」と「内包量」とに分類されます。「外延量」とは、物体を一緒にした時、その価は加法で表すことができます。例えば面積の場合、広がりは外延量です。しかし、「内包量」は加法では表せません。例えば1グラム100円のお茶と1g200円のお茶を混ぜても1g300円の新しいお茶にはなりません。
この内包量の概念は難しく、小学校高学年くらいにならないと理解させられないと言われていますが、日常の生活体験を通して理解させることが可能です。紅茶に入れる砂糖を使い、『砂糖1杯より2杯の方が甘い』という濃度の体験を通して、内包量の理解が幼児でも簡単にできます。
幼稚園の日常生活のなかには、園児が数量にかかわる機会がたくさん埋めこまれています。お便り帳や園からの手紙を友達に配る(1 対1 対応)・おはじきを色別に分ける(分類)お団子を大きさの順に並べる(順列)・空箱を大小に分けて片付ける(大小の分類)、背の高さの順に並ぶ(高低の順列)など、様々な行為のなかで、どちらが多い・少ない、どちらが大きい・小さいと比べる目を養いながら、いくつ足りない・どれだけ小さいなどと子どもは数量について考え、数量概念を発達させていきます。シンボルである数字は、多くの数量を考えていくなかで必要となり、子どもは自然に文字にも興味を持つようになります。
このように幼稚園の生活と遊びのなかで、園児はたくさん数量について出会い、考えています。教師は園生活のなかで出会う数量経験に目を向けて、その場面・場面で園児が数量に出会い、関心をもつように環境を整え、より深く考えることができるように援助していっています。
園長 伊勢 昭

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