かしわの木
2017-05-08

第5号  やってあげる育児から見守る育児へ 今、問われる親子の距離感!

『 子どもとちょうどよい距離感 木の上に立って見守る親でいてください。 』

今年度がスタートして、特に感じたことは、親子関係の距離感についてです。
私の息子の親子関係を見ていても、あまりにも子どものやることに、介入しすぎるように感じます。また、孫も簡単に親の助けを借りようとします。
それを見ていて、自分の子育ての時はどうだったのか考えさせられます。

とかく親は、子どものために、こうやってあげなければ…、
失敗しないように何とかしてあげなければ… と必要以上に手や口を出したがります。
でも、それって本当に子どものためなんでしょうか。
子どものためより、自分の思い通りにした方が管理がしやすい、とか。想定外の出来事に合わないためとか、自分を認めてもらいたいというエゴがあるように思います。

また、子どもとの距離の取り方がわからず友達のように馴れ馴れしく、けじめがなくなってしまったり、腫れものに触るような接し方になってしまったりと悩んでいる親もいるのではないでしょうか。
一度冷静に、第三者の目で客観的に親子関係を考えてみましょう。
友達親子の関係は、幼少期の子どもとは成り立たちません。
「友達親子」という言葉が、1990年半ば以降に聞かれるようになって随分経ちます。親子関係の並列化や上下関係を意図的になくすことで、融和なコミュニケーション関係を目指した結果が「友達親子」なのかもしれません。

長く教育に携わってきたものとして感じることは、独立心の強い子どもは、しっかりと、そんなことに関係なく羽ばたいていきます。
親のレールに乗ってきた素直な子どもは、親を超える存在にはなれないし、人に面倒なことはやらせて、自分で責任を負わない人や、いわゆる指示待ち人間やうまくいかないのを親のせいにするような人に、なってしまうのではないでしょうか?
親は少しずつ手を引いていって、子どもがすることをじっと我慢して見守る…
私がやった方が早いから…とか、あの子一人でやらせるとちゃんとできないから…とか、ではなく、自分でやらせて痛い目に合えば、同じ目に合わないように工夫してやり直す力を子どもは持っていけるようになると思います。

家族仲良く、親子仲良く毎日ハッピーに過ごせたら楽しいです。
でも、子どもが生まれて親になることも、また子ども自身も何もかも初めての体験の連続です。
お互い初めて同士、特に親は悩みながら困りながら親として育っていきます。
「子育ては親育ち」という言葉があるように、子どもの成長と共にまさしく親「木の上に立って見る(親)」として成長し子どもを導いていってほしいと思います。

園 長  伊 勢  昭