「感じる心(センス・オブ・ワンダー)と考える力を持つ子」にするために
人は、大人になるにつれて失っていくものがあります。聞き慣れない言葉ですが、それは、「原始的好奇心」というものです。どういうものかというと「理由なく、とにかく、わき出てきて仕方がない興味」のことです。
園児は大人からみると、これに関しては偉大な先生です。例えば、お母さんのスマホやエプロンをかじったり舐めたりしては、いつまでも手放そうとしません。あきれるほど何回も同じ絵を描いては、「先生見て!」とすがります。全身泥んこになりながら、何だか必死の形相で、土を掘っては埋めています。また、必死になって、園庭でダンゴムシを探し、追いかけています。
このような力は、「理由なく」湧き出てくる興味のなせるわざ、つまり「原始的な好奇心」です。園児は「これはムダな情報」「それはいらない行動」といった、大人のような分けへだてをしません。目に入る全てのことを心に吸い込もうとします。
大人から見ると、「もう、なんでそんな事をするの?」と分からないことだらけです。危ないことも多いし、正直ストレスもたまります。
無意識のうちに大人はこういった園児の原始的好奇心を「つぶす」ことに必死の毎日を送っています。
その結果、園児が成長していって7歳になる頃には、みごとに大人がその戦いに「勝利」します。つまり、「別に興味なーい」「それって意味あるの?」が口ぐせの、無気力な若者へと、しだいに変身し始めるわけです。ちっとも嬉しい勝利ではありません。幼稚園卒園までの間に、「いいからやめなさい」と毎日頭ごなしに言われることで、園児は「そうか、自分は『無関心』でいればいいんだ」という考えグセを覚えてしまうのです。
反対に、「原始的好奇心」が満たされた園児は、次のステップ、つまり、「知的好奇心」という、高い発達段階に進めることが、発達心理学で実証されています。
理由なく湧き出てくる原始的好奇心を大人から消されるのではなく、支えられてはじめて「それはなぜかな?」「どう調べたら分かるのかな?」という、理由を探究する高度な好奇心が芽生えます。それが「種」となって、伸びやかに「知性」が育まれ、内面の豊かな少年少女へと成長していけるのです。
「原始的な好奇心を満たす」。難しく聞こえるかもしれませんが、我々の役割として大事なことは、ただ一つです。
それは、園児の抱く興味に対して、一言でもいいから「肯定的な共感」をしっかりと口に出してみることが大事であると考えます。
幼稚園では、遊びを通して知的な好奇心を育てるため、問題解決のためのプロセスを積み上げて知力を育てる、質の高い幼稚園教育を目指しています。
園 長 伊 勢 昭

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